あなたの瞳を彩るカラコン。おしゃれの一部として欠かせないアイテムですが、使い方を誤ると「ものもらい」や「結膜炎」といった目のトラブルを引き起こすことがあります。目の健康を守りながらカラコンを楽しむために、これらの症状が出たときの対処法や予防策について詳しく解説します。
ものもらいとは?基本を知ろう
ものもらいは医学用語では「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と呼ばれ、まぶたの一部が赤く腫れる症状です。
地域によって「めばちこ」「めこんじき」「めいぼ」など様々な呼び名があります。
ものもらいの種類
ものもらいには主に2種類あります:
- 外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ):まつげの生え際の皮脂腺や汗腺に細菌が感染したもの
- 内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ):まぶたの内側のマイボーム腺に細菌が感染したもの
また、ものもらいに似た症状として「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」があります。
これはマイボーム腺が詰まって炎症を起こした状態で、通常は痛みやかゆみはありませんが、炎症が起きると「急性霰粒腫」となり、ものもらいと似た症状が出ることもあります。
ものもらいの症状
ものもらいの主な症状は:
- まぶたの一部が赤く腫れる
- 軽い痛みやかゆみを伴う
- 症状が進むと赤み、腫れ、痛みが強くなる
- 化膿すると膿が出て、その後回復に向かう
内麦粒腫は外麦粒腫よりも痛みやその他の症状が強く現れることが特徴です。
結膜炎について知っておこう
結膜炎は、白目部分から上下まぶたの裏側までを覆う「結膜」と呼ばれる半透明の薄い膜に炎症が起きる病気です。
結膜炎の種類と症状
結膜炎は原因によって3つのタイプに分けられます:
- ウイルス性結膜炎
- 感染力が非常に強い
- 充血と大量の透明でさらっとした目やに
- 「流行性角結膜炎(はやり目)」や「咽頭結膜熱(プール熱)」など
- 細菌性結膜炎
- 感染力は比較的弱い
- 黄白色のネバネバした目やに
- 通常は片目から始まるが、進行すると両目に
- アレルギー性結膜炎
- 花粉やハウスダスト、コンタクトレンズの汚れなどが原因
- 強いかゆみと目やに
- 両目に症状が現れる
ものもらいと結膜炎の違い
ものもらいと結膜炎は似た症状を示すことがありますが、いくつかの重要な違いがあります:
- 発症部位:ものもらいはまぶたや目のふちに発症、結膜炎は結膜全体に発症
- 感染性:ものもらいは人にうつることはほとんどないが、ウイルス性結膜炎は非常に感染力が強い
- 原因:ものもらいは主に細菌感染、結膜炎は原因によって種類が分かれる
カラコン使用者が注意すべきこと
ものもらい・結膜炎になったらカラコンはNG!
ものもらいや結膜炎の症状がある場合、カラコンの使用は控えるべきです。理由は以下の通り:
- レンズが患部を刺激して症状が悪化する可能性がある
- 目の分泌物が増えるとレンズが汚れやすくなる
- 汚れたレンズがさらに症状を悪化させる悪循環に陥る
症状が完全に治るまでは、メガネで過ごすようにしましょう。
治療法について
ものもらいの治療法
- 薬物療法
- 抗菌剤の目薬や眼軟膏
- 症状が強い場合は抗菌剤の内服薬も
- 温罨法(おんあんぽう)
- ぬるま湯で濡らした清潔なタオルを患部に当てる
- 1日2〜3回、5〜10分行う
- 切開治療
- 膿が自然に出てこない場合や症状が重い場合
適切な治療を行えば、多くの場合1〜2週間で治ります。
結膜炎の治療法
結膜炎の種類によって治療法が異なります:
- ウイルス性結膜炎
- 特効薬はなく、症状を抑える対症療法
- 炎症を抑えるステロイド点眼薬
- 二次感染を防ぐ抗菌点眼薬
- 細菌性結膜炎
- 抗菌点眼薬
- 耐性菌を増やさないよう用法用量を守る
- アレルギー性結膜炎
- 抗アレルギー剤点眼薬
- 抗ヒスタミン剤点眼薬
- 症状が重い場合はステロイド剤点眼薬
予防策:健康な目でカラコンを楽しむために
1. 目と手を清潔に保つ
- こまめに手を洗い、汚れた手で目を触らない
- コンタクトの着脱時は必ず手を洗う
- 洗顔時は目を閉じて人差し指と中指を揃えて横に動かし、まつげの生え際を洗浄する
2. カラコンの正しい使用方法を守る
- 使用期限を守る:ワンデータイプは1日、2weekタイプは2週間、マンスリータイプは1ヶ月で交換
- 装用時間を守る:1日最長8時間を目安に
- 正しいケア:レンズの洗浄と保存液の交換を毎日行う
- 自分の目に合ったBCのカラコンを選ぶ:眼科で測定してもらうのがベスト
3. 健康管理に気をつける
- 十分な睡眠をとり、ストレスをためないようにする
- バランスの良い食事で免疫力を維持する
- 目の疲れを感じたら休息を取る
4. アイメイクに注意
- アイメイクは目を閉じたまま行う
- 目元の化粧品は1ヶ月を目安に買い替える
- その日のうちにメイクをきちんと落とす
- 濃いアイメイクは避ける
5. 定期的な眼科検診
- カラコンを使用している方は定期的に眼科を受診する
- 目に違和感を感じたらすぐに眼科を受診する
おすすめのカラコン選び
- 酸素透過率の高いもの:目に十分な酸素が届くタイプを選ぶ
- 含水率に注意:ドライアイの方は含水率50%以下の低含水タイプがおすすめ
- シリコーンハイドロゲル素材:高い酸素透過率を保つ新素材
- ワンデータイプ:毎日新しいレンズに交換できるので清潔
まとめ
カラコンを使用していて「ものもらい」や「結膜炎」の症状が出た場合は、すぐにカラコンの使用を中止し、眼科を受診しましょう。症状が完全に治るまではカラコンの使用は控え、医師の指示に従うことが大切です。
日頃から正しいカラコンの使用方法を守り、目の健康管理に気を配ることで、これらの目のトラブルを予防することができます。美しい瞳を保ちながら、安全にカラコンを楽しみましょう。
あなたの瞳の健康は、何よりも大切です。
【参考資料】
〇公益財団法人 日本眼科学会:目の病気 病名から調べる
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/
〇公益財団法人 日本学校保健会 学校保健ポータルサイト:学校感染症による出席停止の基準
https://www.gakkohoken.jp/special/